Eileen Gray, Designer and Architect — Irma Boom / Heté Selection
¥14,300 ($90.44)
まず、紙が気になる。
カバーの少しヌメりの光を強く返さない紙、
ページをめくったときの、少し乾いた手触り。
そして本を閉じると、小口に現れるグレーの濃淡。
『Eileen Gray, Designer and Architect』
家具、インテリア、建築、ドローイング、写真、資料をとおして、アイリーン・グレイ(1878–1976)の仕事を辿る一冊。異なる素材と向き合い、その関係性から空間や家具を組み立てていく思考のプロセスがここに。ジャンルを横断しながら独自の美学を築いた稀代のデザイナー・建築家。代表作「ヴィラE-1027」をはじめとする50以上のプロジェクトを、豊富な図版とともに紹介。これまで語られてこなかった新たな調査に基づく論考も多数収録した、決定版ともいえる一冊。
やはりGrayというと、E-1027や家具のイメージが先に浮かぶ。
けれど彼女が扱っていたのは、単に「形」だけではない。
漆、木、金属、布、ガラス。
硬いものと柔らかいもの。
光沢のあるものと、光を吸収するもの。
そして、この本を設計したのがIrma Boom。
ページの中だけではなく、紙、手触り、小口、本の厚みまでがデザインの一部になっている。
特に面白いのが、小口。
本を開いているときには別々だったページが、閉じた瞬間、グレーの濃淡を持ったひとつの面として現れる。
一枚ではただの紙だったものが、500ページ以上積み重なることで、別の表情を持ちはじめる。
ページをデザインするだけなら、開いているときだけを考えればいい。
でも、本は閉じる。
持ち上げる。
置く。
指で触れる。
棚に残る。
その時間まで含めて、本という物体は存在している。
Eileen Grayが素材を「表面を飾るもの」ではなく、形や空間そのものをつくるものとして扱ったように、Boomもまた、紙を情報を載せるだけの背景として扱っていない。
読むための紙が積み重なり、
最後にはひとつの物体になる。
だからこの本は、ページを閉じたあとにもデザインが残る。
Grayについての本でありながら、
閉じた姿まで、Grayである。
読むだけではなく、
手の中でその「素材」を確かめたくなる一冊です。
2020年、AIGA(デザイン専門家団体)による「50 Books | 50 Covers」award受賞作に選出。
本書は、ドイツ建築博物館(DAM)がフランクフルト・ブックフェアと共同で授与する「DAM建築書籍賞2020(DAM Architectural Book Award 2020)」を受賞しました。
【新書・シュリンク品】
Editors: Cloé Pitiot / Nina Stritzler-Levine
Book Design: Irma Boom Office
Publisher: Yale University Press
Publication: 2020
Pages: 504
Size: 約 W216 × H267 mm
Language: English
※本記事に掲載の文章・写真・図版は、紹介の範囲で本書の内容に触れることを目的としたものです。書籍本文・掲載写真・図版の無断転載・複製・二次利用はご遠慮ください。




















