2026/03/19 11:08
Heté Storeとそのアプローチ
Heté storeを始めるにあたり、「コンセプトはわかりやすく一方向で」というアドバイスをいただいた時、その重要性に改めて気づかされました。シンプルで明確な方向性を持つことは、確かに大切なことだと感じています。しかし、同時に、私は少し違った形で発信していきたいという気持ちもわいてきました。
Heté storeはまだ初めて間もないWEBストアですが、訪れていただいた方の中には、なぜハイブランドとディーター・ラムズを同列に並べているのか、疑問や違和感を感じる方もいらっしゃるのではないかと思っています。苦笑。
ラグジュアリーと機能主義といった一見対極にある価値観を、同じ文脈で並べることによって、そこから新しい気づきが生まれる場を提供したいと考えています。私たちが目指すのは、単に商品を売ることではなく、選ぶという行為を通じて、訪れる方々が自分の審美眼を元に、物事をもっと広い視野で捉え直すきっかけとなるような空間を作ることです。
もちろん、コンセプトが一方向であることは大切にしながらも、その中で私たち自身の考えや価値観を少しずつ反映させていけたらと思っています。異なる価値観が交差する場所として、来てくださる方々に新しい視点をお届けできるようなショップを目指していきたいと考えています。
対極を並べるという編集
例えるならラグジュアリーと機能主義。
一見すると、同じ棚に並ぶことのない二つの価値観がある。
たとえば、HermèsやCHANELに象徴されるハイブランドの世界。そこでは素材や職人技、長い歴史の積み重ねが価値となり、プロダクトは単なる“モノ”ではなく、文化や背景をまとった存在として立ち現れる。
一方で、Dieter Ramsが提示したのは、極めて純度の高い機能主義だ。
Braunにおける仕事に見られるように、装飾は削ぎ落とされ、形は使うためだけに研ぎ澄まされていく。そこにあるのは主張ではなく、静かな必然性だ。
この二つを同列に扱うことに、違和感を覚えるのは自然なことかもしれない。
しかし、あえて同じテーブルに置いてみる。
ハイブランドの製品にも、実は徹底した合理性や機能への配慮が存在している。長く使われるための設計、手に馴染む構造、修理されながら受け継がれていく前提。一方でラムスのデザインにも、美しさや思想といった、数値化できない価値が確かに宿っている。
両者は対立しているのではなく、「何を残し、何を削ぎ落とすか」という問いに対する異なるアプローチに過ぎない。編集とは、似ているものを集めることではなく、異なるものの間に関係性を見出す行為だ。
対極に見えるものをあえて並べることで、はじめて見えてくる共通点がある。そこに浮かび上がるのは、ブランドか機能かという分類ではなく、人がどのように価値を形にしてきたかという視点そのものだ。
そしてそれは、Hetéが大切にしている感覚でもあります。
時間を経て、年齢を経て、ジャンルを経てわかる審美眼。
それは一時的な流行や分かりやすい価値基準ではなく、経験の蓄積によって少しずつ輪郭を持っていくものだ。若い頃には見えなかったものが、ある時ふと美しく感じられる。その感覚は、異なる領域を横断することでより確かなものになっていく。
だからこそここでは、距離のあるものをあえて同じ文脈に置く。ハイブランドも、機能主義も、そのどちらかを選ぶためではなく、自分自身の審美眼を確かめるためにある。
私たちのショップは、その“気づきの余白”を提供したいと考えています。
改めましてどうぞ末長く宜しくお願いいたします


